数学帝國への逆襲 (西春自習質問教室のブログ)

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「藤井聡太の鬼手」について、ど素人の解説(5)

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絶妙手、中空の桂



中空の桂について書く前に、「鬼手60」について。

 

7七同飛成、4四桂と並んで、藤井君の妙手トップ3を選ぶならこれ。

7七同飛成が「攻め」の妙手、4四桂が「攻防の妙手」なら、

5八金は、なかなか出ない「守り」の妙手。

 

あり得ないと思う、あの着想は。

解説のプロ棋士も、

「相当頭が柔らかい」「思いつかないし、思いついても躊躇する」

と言っていました。

 

しかもですね、

この5八金の三日後に、中空の桂4四桂。

どうやったらたったの三日で、傾向が全く違う絶妙手二つが出るのやら?

 

さて、「鬼手62」、4四桂ですが、

7七飛成と4四桂の凄いところは、数手前から読んでいた、ということです。

 

7七飛成は、プロの高段者ならその場面になれば指せるそうですが、

藤井五段(当時)は明らかに、少なくとも6三同金の時点では読んでいた。

そして4四桂には、数手前から読んでいた証拠があります。

「その桂は4手前(89手目)に相手から取ったもの」だからです。

 

なのに、解説していた高段者たちは、指されるまで気づかない。

なぜ7三の地点で桂馬と金を取ったのかわからない。

対戦相手の広瀬八段も気づかない。

 

女流プロの人なんて、

自分が美人女流プロとしてお化粧ばっちりで来ていることを忘れ、

「桂馬・・、歩じゃなくて・・」と阿呆のようにつぶやいてから、

解説しようとする隣の高段者に対して、

「先生、そんなことさっきまで言ってなかったじゃないですか」

とツッコんで立場をなくさせてしまう。

 

これこそが絶妙手。

「何もないところにいきなり現われる」という意味では、

羽生さんの5二銀に比肩される「作品」だと思います。

 

一生に何度も見られるものではないと思います。

いち将棋ファンとして、幸せを感じます。