数学帝國への逆襲 (西春自習質問教室のブログ)

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3一銀

棋聖戦3一銀について解説する

藤井七段が棋聖戦を快勝。
そしてまた、3一銀という守りの名手を指したそうだ。

異次元の手、
最強将棋ソフトが6億手を読んで初めて指せる手、
攻めに使いたい手駒の銀を敢えて守りに使う鬼手、
不思議な感覚の手、
・・なのだそうだ。

解説のプロや将棋ライター諸氏は全くわかっちゃいないので、
また私が解説する。

3一銀が、歴史に残るかもしれない名手であることには同意する。
というより、私みたいなど素人が、同意するのもおこがましい。
だが、多少なりとも将棋を知っているなら、
下の図で、3一銀がないつもりでよく考えてほしい。

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3一銀打

敢えて書く、この手、私なら指すぞ。

将棋ソフトが最初に最善手にし、
プロ諸氏も最善としてその後を検討していた手は、4六桂らしい。
2二の金を放っておいて攻め合いに出れば、勝てるようだ。
でも、それはプロだから読み切れるのであって、
マチュアの私は、金を取られて自陣に馬を作られるのは嫌だ。

3三金とか3三桂は、3四歩が厳しいのはわかるし、
3二金なんて、香車を取られて角が成ってくるじゃないか。
3一銀以外で、私が指すとしたら5五桂だが、
桂馬こそ、5七に打ちたいので温存したい。

訊いてみるといい、街の将棋指しに。
次の一手」ではなく、この局面であなたならどう指しますか、と。

私を含め、何割かの人が言うだろう、
「良い手が思いつかないので、3一銀と守っちゃいますね」と。

藤井君は、敢えてここは藤井君と呼ぶが、
コロナ騒ぎで家にいる間に、将棋についてさらに深く考えたという。
私のようなど素人が評価するのは恐縮だが、彼はまた成長したようだ。

そして彼の成長は、
「プロが思いつかない鬼手を指すようになった」ことではなく、
「ど素人が指すような手でも、それが最善なら普通に指す」
という意味だと思う。

藤井君の7七同飛成、4四桂、5八金左は、
私には一生指せないし、プロでも指せないから凄い手なのだが、
3一銀は、ど素人には指せるがプロだから指せない手なのだ。
そこが違うのだ。

渡辺三冠は好きな棋士だし、藤井君の前に立ちふさがってほしいのだが、
これはちょっと、ここからひっくり返すのは奇跡に近いと思う。
「成長している真っ最中に当たってしまった」からだ。

おそらく3連勝、
悪くても3勝1敗で、棋聖位は藤井七段のものとなるだろう。
木村王位も、首を洗って待つしかあるまい。

(追記)
私が先手渡辺三冠側なら、3一銀と守らせたことを喜んで、
よしこっちの番だと、4四歩といくだろう。
同金同角で、金がタダ取りできるから。
でもそれは、次の瞬間に1四角と打たれて終了するらしい。

まあ私の実力なんて、そんなもんだ。

 

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