宇宙1-2.月と太陽b「テイア」
中学国語教科書に「月の起源を探る」という文があった。
今の教科書には載っていない。
そりゃそうだ、間違いがいくつかあるので。
よくあんなものを載せたなと、今では私も思う。
(ごめんなさい。「月の起源を探る」は今の教科書にもあるそうです)
「分裂説」「共成長説」「捕獲説」を、
「親子説」「兄弟説」「他人説」として紹介し、
コンピュータシミュレーションでどうたらこうたらと、
まるで自分の手柄のように解説したものだったが、
最新の説は違う。
まず、ラグランジュポイントについて解説する。
これは、引力が釣り合う点のことで、
太陽と地球については、下の図のようになる。
ざっと解説すると、
L1とL2は、太陽地球の重力比になる内分点と外分点、
L3は地球の真反対、L4とL5は、太陽地球と正三角形になる点だ。
当然ながらこの位置は、将来の宇宙ステーション建設予定地だ。
(ラグランジュ点はこれからも出てくるので覚えておいてくれ)
太古の昔、地球ができた頃、
余った岩石がL4かL5に集まって、火星サイズの天体を作った。
その仮説上の天体の名をテイア(Theia、月の女神の母の名)という。
それがだんだん大きくなると、地球との重力バランスが崩れ、
次第に近づいて、地球に衝突する。
有名な「ジャイアントインパクト説」だ。
確かにこの説は、月についてのいろいろな謎を解明した。
地球だけなのか、という疑問にも、冥王星とカロンという例がある。
(カロンは冥王星第1衛星、マリオに出てくる骨だけの亀と同名)
それでも、解明できない謎が他にいくつかあって、
それを説明するための最新の学説は、
「テイアはひとつではなかった」というものだ。
複数のテイアが地球にぶつからないと、月はできないようだ。
何度もできてはぶつかったらしい、ほとんどイジメに近い。
さらに最新の学説が「できた月もひとつではなかった」だ。
月が二つできて、それがぶつかり合わないと、
月の表と裏の違いが説明できないらしい。
さらに未来になれば、もっと系統だった理論になっているだろう。
その時また、国語の教科書に載せてくれ。