数学帝國への逆襲 (西春自習質問教室のブログ)

「西春自習質問教室」は、高校生のための自習と質問に特化した教室です。 電話 0568-65-8104

宇宙2-1.太陽系a「内惑星」

宇宙2-1.太陽系a「内惑星」

①水星 Mercury

Mercuryは旅人や商人の神。
古代の旅商人はスキがあれば盗みもしたので、泥棒の神でもある。
理由は、水星は太陽に一番近く、一番速いから。
88日で公転する。

表面には大気はないので、月と同じようにクレーターがある。
地球人が、他の天体に着陸しようとした場合、
月(実現済み)、火星に続く3番目の候補になる・・、はずなのだが。

もし失敗したら、近くには超巨大重力を持つ太陽があるので、
私なら、99.9999%成功すると言われても、ビビるだろうなと思う。
「お~っと水星、宇宙船を華麗にスルー」とか、想像したくもない。

さて、
金星が太陽に近く、夕方と明け方にしか見えない、と習ったと思う。
水星はもっとだ、一般人が見る機会は、なかなかない。
その滅多にない機会が、もうじき来る。

5月の下旬、20日前後、
日没後の西の空低くを見て、明るく輝く星が見えたら金星だ。
そのすぐ近くに金星(-4等星)ほどではないが明るい星があったら、
それが水星(-1等星)だ。(最接近は22日金曜日)

水星なんて、私も何度も見たことはない。
金星を目印に見ることができるなんて、こんなチャンスはない。
見逃したら、おそらく一生見ることはないと思う。
まあ目で見るだけなら、ただの光の点なんだけどね。

f:id:nishiharu_jsk:20200516195313j:plain

国立天文台のサイトから拝借しました

②金星 Venus

Venusが、愛と美の女神であることは知っていると思う。
理由は、金星は地球に最も近い惑星であり、
-4等星というぶっちぎりの明るさを持つ星だから。

今、西の空を見て、低いところに明るい星があったら金星だよ。
覚えておくといい、いや、嫌でも印象に残ると思う、
あの明るさになる星は、金星以外に無いのだ。
書いておくが、あと1週間くらいだぞ、見えるのは。
次は、1年半後になる。

-4等星、と言われて、明るいと思えない人もいるので解説する。
目に見える星の明るさは、1等星~6等星と決められていたのだが、
今は望遠鏡があるので、もっと暗い星まで見えるようになった。
最大級の望遠鏡なら、30等星近くまで見える。

よって基準が必要になり、
1等星は6等星の100倍の明るさ、ということになった。
1等星よりも明るい星は0等星にするしかなく、
もっと明るい星は-1等星、と決められた。
(例えば織姫星ヴェガは0等星、おおいぬ座シリウスは-1等星)

指折り数えていただけばわかるが、
-4等星は、1等星のさらに100倍明るい。
だから金星は、宵の明星だの明けの明星だのと呼ばれる。
-2等星は火星の接近時や木星がなるが、-3等星はない。
つまり金星は「星」の中では別格に明るい、ということ。
金星より明るい「天体」は、太陽と月のみ。

ところが、
聞いたことがあるかもしれないが、
金星の表面温度は460℃、大気の圧力は地球の92倍、
その大気はほとんど二酸化炭素なので、温室効果で高温になる。
また、金星には硫酸の雨が降るのだが、
地表に届く前に高温故に蒸発し、また繰り返し降るようだ。

愛と美の女神が聞いて呆れる。
余談と言われればそれまでだが、
私は上記の内容を知った時、地獄なんて存在しないと確信した。

神様や天国の有無は知らない、宗教家に聞いてくれ。
だが、もし神が全知全能なら、金星のことを知らないはずがない。
悪人が死んだら、罰として一定期間、金星に放り込めば済む。
なぜ、地獄なんていう余計なものを作らねばならないのか?
灼熱地獄の上に硫酸の雨だ、充分だと思うぞ。

話を戻す。
金星は、大きさは地球より少し小さい程度の星だ。
地球と兄弟姉妹、という人もいる。
なのになぜ、こんなに違うのか。

根本原因は、ハビタブルゾーンと月の存在らしい。
ハビタブルゾーンは、太陽系内で液体の水が存在する範囲で、
地球と火星しか、その中にいない。

地球の大気も最初は二酸化炭素が主成分で70気圧だったのだが、
ほとんどが海に溶け、海中のイオンと結びついて、石灰石になった。
そして光合成生物が登場し、残りを酸素にしちゃったから今がある。

f:id:nishiharu_jsk:20200516200037j:plain

太陽系以外にも当てはまる

月は衛星。
「衛」の字には守るという意味があり、
セラムンにも衛(まもる)くんというキャラがいるらしい。
ただ地球の周りを回ってるだけじゃん、と私も思っていたが、
もし無かったら、地球は暴風雨の吹き荒れる世界だったという。

では金星には、ジャイアンインパクトは無かったのかというと、
地球と同じように、それは起きたのだが、
衛星を作らずに、金星の自転を止めてしまっただけに終わったようだ。
金星の自転周期は243日で、公転周期224日より長い。
しかも地球と逆回転、
「そんなことは太陽が西から昇っても起きない」というセリフは、
人類が金星に行くことができたら、成立しなくなる。

したがって、人類が金星に行くのは、遠い未来の話になるだろう。

さてまた少し、無責任に確認していない噂レベルの話をする。
実はNASAに、金星を地球化しようという計画があったという。
金星にロケットを打ち込んで、
空の上の方の、気温が低いところにバルーンをいくつも浮かばせて、
そこに植物を植え、光合成をさせて酸素を作ろう、と。

遠大な計画ではあるが、
金星の上空にはスーパーローテーションと呼ばれる暴風が吹く。
(金星を4日で一周する。AKBの曲ではない)
また、光合成というのは、我々に酸素を作ってくれるものではなく、
植物が、自分の体を作るのに必要だからやっていることだ。
バルーンで支えきれなくなってその植物が金星の表面に落ちたら、
燃えてまた二酸化炭素になるだけなのだが・・?

とはいえ、将来的に似たようなこと、つまり、
テラフォーミングというやつをしないと、金星には行けないわな。