数学帝國への逆襲 (西春自習質問教室のブログ)

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宇宙3-1.銀河系a「太陽の隣人」

宇宙3-1.銀河系a「太陽の隣人」

①恒星間天体

親分となる恒星を持たず、広大な恒星間空間を旅する星。
オウムアムアが見つかって以来、いくつか発見されている。
全て小惑星サイズであり、大きなものは今のところ発見されていない。

ただ、無い、とまでは言い難く、
例えば木星土星サイズの恒星間天体がオウムアムア軌道で来た場合、
地球なんて弾き飛ばされて、人類は終了だろう。

確率的にはぼぼゼロだ。
地球が今まで存在していることが、その根拠になる。
でも、そんなことは起こらない、ともはっきりは言えない。
2014年にパプアニューギニア上空で燃え尽きた火球は、
恒星間天体が地球に突っ込んだものだと考えられるからだ。

対策?
ひとつしかない。
「神に祈る」

ケンタウロス座アルファ リギル

太陽系の一番近くにある恒星。
正確に言うと、太陽系の一番近くにある恒星系。

ケンタウロス座アルファ星は、肉眼では1個の星に見えるが、
リギルと、ほんの少し小さいトリマンの二連星だ。
太陽からの距離は4.3光年。
つまり、光の速さで4年以上かかる。

天動説というのは、今では小中学生からもバカにされる考えだが、
「もし地球が動いているなら、なぜ空の星(恒星)は動いて見えないのだ」
という有力な根拠があった。
これを年周視差という。
こんなイメージだ。

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観測可能になったのは1838年

その答えがこれ。
4.3光年というのは、約40兆km。
このべらぼうな距離ゆえに、昔の技術では違いがわからなかったのだ。
「一番近い星」でこれなのだ。

地球の公転軌道直径は3億km。
これを3cmに描いたら、4光年は4km、
遠くにあるものへの距離は縮図を描いて求めよ、と小学校で習ったはずだ。
底辺3cm、高さ4kmの二等辺三角形の縮図を描く難しさを考えてみよう。

③プロキシマケンタウリ

1915年に見つかったケンタウロス座の11等星が、
実はリギルとトリマンの周りを回っているということが明らかになり、
距離を測ってみたら4.244光年、太陽に最も近い恒星とされた。

しかもこの星は、惑星を持っている。
プロキシマ・ケンタウリb と名付けられたこの惑星は、
ハビタブルゾーンの中にあり、生命が存在する可能性がある。
大きさも、地球より少し大きいくらいだ。(スーパーアースというやつ)

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プロキシマケンタウリbの想像図

ひょっとしたら、向こうは向こうで、
やっと地球人が気づきやがったぜ、と思っているかもしれないが、
私はここで、もう一度君たちに言わねばならない、
健康に気をつけて長生きをせよ、と。

あるのだ、宇宙船をここまで飛ばす計画が。
「ブレイクスルー・スターショット計画」という。
アメリカの金持ち連中と、スティーヴン・ホーキング博士で立てた計画だ。

もちろん無人だが、宇宙船を光の5分の1程度まで加速し、
プロキシマ・ケンタウリスイングバイしてケンタウロス座アルファまで。
スイングバイは、星の引力で方向を変えながら加速すること)

遠大すぎる計画だ。
軌道エレベータと異なるのは、技術的にまだまだだということで、
可能になるのは、20年後と予想されている。
よって、開発に20年、実現に20年、到達に20年として、
アルファケンタウリ恒星系からの画像が送られるのに4.3年。
60年~70年後には、隣の恒星系のことがわかるのだ。

知りたい、私は。
太陽系と異なる連星系の惑星たちが、どのようなものなのか。
本当に、良い時に生まれたな、君たちは。