数学帝國への逆襲 (西春自習質問教室のブログ)

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中国史6.秦

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王国秦 → 帝国秦

6.秦
首都は咸陽
「陽」という字は、日の当たる場所を指す。つまり、山の南、川の北。
咸陽は両方満たしていたので、山も川も咸(みな)陽という意味。
西安県の隣に、咸陽県もまだあります。

他六国は滅亡順に、韓、趙、燕、魏、楚、斉。
秦王政が世界を征服(中華思想では)して、王より上の位を作ろうと、
皇帝を名乗ったのが、秦(発音はchin、Chinaの語源)である。

ここで「諡(おくりな)」という概念を説明する。
王様や皇帝の名前は、死後に生前の業績を考えて付けられる。
強ければ武王とか武帝、制度を整備すれば文帝、というように。
だから大仏を造った人は聖武天皇と諡される(おくりなされる、と読む)。

このことが始皇帝の考えでは、臣下が主君を評価するなど不遜だ、
ということになって、自分は始皇帝、子は二世皇帝、孫は三世皇帝、
・・と、万世皇帝まで続けよ、ということになったわけだ。
残念ながら、秦は二世皇帝で潰れたが、
まさか東夷の蛮国で、そこの天皇万世一系を実現するとは、
始皇帝も思わなかっただろう。

若い人は知らない場合もあるので警告しておくが、
今の天皇を令和天皇と呼ぶのは、死者にしてしまう不敬中の不敬だぞ。
彼の呼び方は天皇陛下、または単に陛下だ。
(今は象徴天皇制なので、正式には諡号とは言えないわけだが)

あと「陛下」は、皇帝天皇王様にしか使わない。(上皇も陛下)
その子供たちを中心に、トップレベルの貴族が「殿下」で、
パタリロ8世殿下は間違い、彼自身の希望でそう呼んでいる)
平民は「閣下」が最高。大統領閣下、とか、大臣閣下、とかに使う。
法王や教祖教主は「台下」か「猊下」だ。
(だから007は「女王陛下の00」、私のウェブネームも参照)

さらに始皇帝は、一人称も専用の「」(ちん)を使った。
日本の天皇も戦前までは「朕」だった。
これはもう皇帝のみで、王様でも一人称は「余」だ。
(フランス国王ルイ14世朕は国家なり」は誤訳)
ファンタジーの大魔王ですら「余」を使う。

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カイザーフェニックス

というように、
始皇帝を一言で表すなら「独裁者」だ。
しかも彼は統一マニアで、いろいろなものの統一も行った。

貨幣、文字、車輪の幅、度量衡・・
度量衡とは単位のことで、例えば、
atm と mmHg と hPa があった気圧の単位を hPa で統一したようなもの。

あと有名なのは、儒家は小うるさいだけで役に立たないからと、
焚書坑儒(書を焼いて儒家を埋める)をしたことが挙げられる。

長城を繋げて万里の長城にし、秦の直道という真っ直ぐな道も造った。
今でも西安付近の道には直線的なものが残っていて、
私自身、運転手がスピードは出すわ居眠りはするわで死にかけたよ。

旅行記2】
秦の頃の万里の長城は、騎馬民族を止めればいいので高さ2mくらい。
現在の大きな長城は、明代に修復構築されたものだという。
また、現代の自動車の通る道は、長城に沿って造られているので、
道の隣の長城の上を、大勢の人が歩いているのを見るのは壮観。

城壁だから、わざと山の上を繋いで造ってある。
こんなところを誰が攻めるんだよ、と思ったら、
「長城を攻める日本軍」という写真が貼ってあった。
凄いぜ爺さんたち。

ただし臭い。
昔からなのか観光客のものなのか知らないが、尿臭が凄い。
入り口の横にスタバがあったけど、コーヒーを飲む気にならない。
そして危ない。
他のものなら階段のある傾斜でも、(20度なんて普通)
もともと道ではなく城壁なのだからただ傾いているだけだ。
安全柵なんて全くなく、入場料の他に保険料が要る。
「あなたが落ちて死んだら連れの人に50万円差し上げます」
と書いてある。(俺の命安っす、と思ったよ)

さらに、全世界的に超有名な建造物なので、世界中の人がいる。
私の前を歩いて、いや、上っていたのはブロンドのデブなおばさん。
ヨーロピアンのデブってのは、日本のそれと違ってまん丸だ。
あのおばさんが足を滑らせたら砲弾だな、下の人が何人か死ぬぞ、
そう思いました。
旅行記2終わり)

さて、始皇帝郡県制を作って始めた制度を「中央集権制」というが、
今ではどの国もこれで、多少は地方分権にした方が、と言われている。

特徴としては、
中央集権制は、皇帝や政府にとって支配しやすく、
皇帝が勤勉なら、その勅令が隅々まで届いて国も安定するのだが、
皇帝にさえ気に入られればいいので、周りの官僚が腐敗しやすい。

封建制は、各国が軍隊を鍛えるので、
上手くいっている時は最強連合軍になるが、(大坂の陣がこれ)
配下の方が強くなってしまう危険性が高い。(明治維新がこれ)

また、郡県制は「郡」の方が広い、明治政府が間違えたのだ。
郡は後に州になって今では省だが、何にせよ県が一番小さく、
知っているはずの私も「西安市」に入ってしばらくしてから、
西安県まであと○km」という表示で混乱した。

旅行記3】
始皇帝は、ピラミッドや仁徳天皇陵と並ぶ巨大墳墓で、
入り口に「天下第一陵」と書いてあるのだが、
その天下第一陵で、中国人たちは果物を育てている。
上る階段には指くらいの大きさがあるムカデが這い、
頂上ではおばちゃんたちが、採れた果物を売っている。
絶対あり得ない、ピラミッドでも日本の古墳でも。
でもこれが、中国人の感覚なのだ。

近くに、と言っても車で移動する距離だが、兵馬俑がある。
殉死を防ぐための、日本の埴輪のようなものだが、等身大。
広めの体育館のようなスペースに、
掘り出される途中の土人形がたくさん立っている。
旅行記3終わり)

秦末に始皇帝が死ぬと、宦官の趙高が実権を握る。
趙高は学識が高く、二世皇帝の先生だったのだが、
宦官というのは、皇帝の夫人たちの世話をさせるために、
浮気防止で(ピー)を切った人のことで、当然性格は歪むのだ。
(これを解決するために女に女の世話をさせたのが江戸幕府の大奥)

趙高は、自分の地位を安定させるために有能な武将や大臣を処刑し、
二世皇帝は能なしで、彼に誤魔化されたままだったので、
陳勝呉広の乱」というものが起こる。

これは、人夫として首都咸陽に行くはずだった陳勝呉広が、
途中で足止めされて遅れそうだということで起こした反乱だ。
秦の法では遅刻は死刑だから。(今なら生徒がいなくなるぞ)

この反乱の中から項羽と劉邦が出るわけだが、
陳勝自身はトップとしての器量に欠け、結局敗死する。
ただ名言創作能力があり、以下の二つが現代に伝わる。

「燕雀いづくんぞ鴻鵠の志を知らんや」
おまえみたいな雑魚に大物のオレ様の気持ちがわかるか、
という意味。

「王侯将相いづくんぞ種あらんや」
王様貴族将軍宰相は遺伝しない、誰でもなれるのだ、
という意味。

『馬鹿』
趙高が、自分の地位を確認するために、二世皇帝の前に鹿をひいていき、
「これは馬でございます」と言ったので、周りの人たちも、
反対して処刑されたくないので「確かに馬です」と言ったという。

何のことかわからなかった二世皇帝は「馬鹿第一号」ということになるが、
中国語で「馬鹿」はマールーと読み、赤鹿の一種で侮蔑の意味はない。
どこかでこれは、日本人の創作が入っていると思う。

【罵り言葉】
よって、中国人に「馬鹿中国人」と言っても侮辱されたとは思わない。
逆に、中国人が他を侮辱する時は、単純に「小」を付ける。
日本人は、反日中国人から「小日本」(シャオリーベン)と呼ばれるが、
今度はこっちが、それを罵り言葉と認識していない。
ネット上では「小日本ちゃん」というキャラまでできている。
ま、平和でけっこうなことですわ。

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リーベングイズではない、ひのもとおにこちゃんである