中国史２２．中華人民共和国

f:id:nishiharu_jsk:20200321150913j:plain — 長征の現実

中国共産党を作った人は陳独秀。（他57名、1921）
北京大学の文科長で、雑誌「新青年」で魯迅を世に出した人、つまり文人だ。
ところが、世界共産革命を目指すコミンテルンの指導により、
ソビエト連邦の軍人に教えられ、戦争ができるようになっていく。

とはいえ、最初は国民党の方が圧倒的に強く、
孫文と国共合作（第一次、1924）をしたのだが、
上海クーデター（1927）で蒋介石に追っ払われて、陳独秀他は失脚する。
毛沢東は江西省瑞金に「中華ソビエト共和国」を作るが、
国民党軍とは最初から数が違うので、追い出されて逃げることになる。

ここからがよくわからない、という人は、
「全部嘘さ」と思えばいいんだよ。

孫文ほどではないが、毛沢東も武人ではない、運動家だ。
今までの歴史を見れば、
王朝は、武人が始めて、その周りの文人が制度を作る。
唐の太宗みたいな人は、例外中の例外だ。
運動家に政治をさせても上手くいかないことは隣国を見れば（以下自粛

まず第一の大嘘は長征。（1934～35）
長征と言うと、どこかを征伐したかのようだが、
国民党軍に瑞金から追い払われたので、陝西省延安まで逃げただけ。
瑞金では１０万人いた共産党軍は、延安では３万になっていた。
（諸説あり。最小で数千人という説もある）

漢の劉邦や三国の劉備もびっくりの蜀を縦断する逃避行なのだが、
その間に、農村部の支持を集めたというメリットはあったし、
なにより、毛沢東が完全に指導権を確立してしまった。

延安に着いてからも形勢不利だったのだが、流れが突然変わる。
西安事件である。
そこから国民党を追い出すまでは、中華民国のところに書いた。
中華人民共和国が、1949年に成立する。

第二かつ最大の大嘘が、その後に実行された大躍進政策（1958～1961）だ。
これは、ソビエト連邦の５か年計画を真似て追い越そうと始めたもので、
運動家毛沢東は、１５年で米英に追いつく、と言っていたのだが、
大躍進どころか、大失敗と言ってもまだ足らない、
世界史上ダントツで最も多い餓死者を出したトンデモ経済政策になった。
（日本とは違うぞ、その餓死者を食べても餓死するってことだ）

例を挙げるなら、
農作物に被害が出るからと、雀を皆殺しにするんだぞ。
雀は雑食性だ、害虫がそれ以上に増える結果になるって中学生でもわかる。
食物連鎖という言葉は、中国には無いのか？

他にも、
工業化するために、ハゲ山になるまで木を切って、その木炭で鉄を作り、
（炭素で酸化物を還元することも中学で習う。つまり中学生レベルだ）
できた鉄は粗悪で使い物にならない、ということもやった。
（真似してさらに愚策をやらかしたのが北朝鮮、中華人民共和国追加１）

さらに第三の大嘘は、プロレタリア文化大革命。（1966～1976）
今までの文化ではなく社会主義の文化を創るとか、毛沢東は言ったが、
「造反有理」（反抗するには理由がある）という毛の言葉を掲げて、
毛沢東崇拝者（紅衛兵）が、反対勢力はもちろんのこと、
地方でちょっと裕福だった人たちまで、撲殺して回る結果になった。

その過程で今までの文化は叩き壊される、孔子関連とか。
日本の廃仏毀釈の、数倍プラス人的被害と考えればいい。

私自身、学生の頃、このへんはわけがわからなかった。
大躍進って、どこがだろう？　とか、文化大革命とは何？　とか・・
繰り返すが、長征は長逃避行、大躍進は大混乱愚策、
プロレタリア文化大革命は中国人チンピラ化だ。
その大失敗を、運動家らしく言葉で飾って繕ったというわけだな。

大躍進と文化大革命の犠牲者を合わせると、億に届くかどうかだ。
間違いなく毛沢東は、人類史上最大の虐殺者だ。
２位が、シベリア送りで５千万程度の死者を出したヨシフ・スターリン。
史上最悪最凶と言われるヒトラーなんて、せいぜい犠牲者数１千万の小物。
今ごろ地獄でヒトラーは、毛とスターリンから、
「おいアドルフ、パン買ってこいよ」と言われていることだろう。

念のためだが、誰が悪いの良いのと私は言っていない。
中国は、日本はもちろんドイツあたりとはケタが違うと言っている。

毛沢東の死で文化大革命は終わったが、
逆に、人口が増えすぎて困った中国は、一人っ子政策を始めた。
だから、良いの悪いのではないのだ。

［共産主義という幻想］
簡単に言うなら、みんなで耕してみんなで収穫しみんなのものにしましょう、
ということなのだが、春秋戦国ですでに、不可能であることはわかっている。
荀子の冒頭にあるんだよね「人ノ性ハ悪ナリ」と。
それが正しいかどうかではなく、人間の中に悪い部分があるのは確かだ。

上に書いたように、共産党政権を樹立した国は、たいがい独裁になる。
そしてその独裁者は、反対者の虐殺を実行する。
毛もスターリンも、金なんとかもポルポトも。
理想社会を作ろうとすると、暗黒政治になるらしい。
つまりそれが人間というものなのだ。
ロシアにはゴルバチョフが現われ、共産主義をやめて立て直しているが、
大中華人民共和国は、どうなっていくのでしょうね。

【旅行記12】
西安始め、いくつかの町の「抗日記念館」に私は行ったが、半分嘘だわな。
「攻めてきた日本軍に地雷を仕掛け待ち伏せる人民解放軍」
みたいなジオラマが作って展示してある。
蹴散らされて逃げました、とはどこにも書いてない。
中国の歴史はプロパガンダ、韓国の歴史はファンタジー、というヤツだ。

最初にお断りを入れた通り、
中国史というのはこのように、残酷で派手で汚らしい。
そういう中国史が、私は大好きなのだから、どうしようもない。