数学帝國への逆襲 (西春自習質問教室のブログ)

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中国史5.戦国

5.戦国

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領域国家成立

晋が分裂し、趙、魏、韓になって戦国は始まる
戦国の名は「戦国策」という書物から取ったらしいが、普通ですね。
戦国の七雄は「秦楚斉燕趙魏韓」の順番覚えると「の」の字の逆になり、
リズムも良いので覚えやすいと思う。

初期段階ですでに、諸侯は公や侯ではなく王を名乗り、
戦争に負ければたたりに関係なく滅亡に繋がる、これが戦国である。
下剋上」という言葉も、ここでできた。

また、鉄製武器より先に鉄製農具が使われ始め、牛耕も始まったので、
耕地が広がって、国境も明確になっていった。
各国がどのように戦ったのかは、面白いのだが大学受験には出ないので、
ここでは諸子百家を中心に話すしかない。

各国は富国強兵策をとるので、自分の頭や理屈に自信があるなら、
諸侯に売り込んで、採用されれば即宰相も夢ではない。
でも同時に、採用されなければ殺される危険性もあるので、
漢文でも、この時代のものは発言に命を賭けていることが伝わる。

儒家」(孔子孟子荀子
孔子(Confucius)は「人類の教師」と呼ばれ、
今では中国を代表する思想で、日本もその影響が大きいが、
最初はたいしたことがない勢力だった。
だって、その考えを採用しても国が強くなるわけじゃないから。

儒家の基本は、五常(五徳)といって仁義礼智信の五つだが、
春秋時代孔子が重視したのが「仁」で、
戦国時代の孟子が重視したのが「義」というのは、
時代を反映していて面白い。

[孔丘]
孔子の本名。
生まれた時に、頭がへこんでいて丘のようだと付けた名前。
いやお母さん、それはちょっと酷いでしょ。

墨家」(墨子
墨子は「兼愛、非攻」、つまり love & peace を説いた。
そのため墨家は守備築城の専門家揃いで、儒家より勢力が強く、
墨家が敵に付いたとわかると、王が攻撃を諦めたくらいだった。

法家」(商鞅韓非子
儒家荀子の説いた性悪説から、
法治主義を説く商鞅、李斯、韓非が出た。
儒家の説く「徳治主義」は、人口が多くなると通じるわけがなく、
今はどの国家も「法治主義」が当たり前だ。

道家」(老子荘子
無為自然を説く道家は、諸侯に売り込むわけがないのだが、
民間の考え方に取り込まれ、後に神仙思想になっていく。

農家」(許行
全人類が農民になればよい、と説く平等運動家で、現実無視。
孟子も「悪平等」と呼んで批判していた。

諸子百家はここまでが「思想家」で、ここからは「技術屋」になる。

名家」(公孫竜) debater
「白馬は馬ではない」に代表される屁理屈屋たち。
ギリシャなら「アキレスと亀」に近いかと思う。

陰陽家」(鄒衍) scientist
世の中のものは全て陽と陰に分かれ、木火土金水のどれかに属する、
というドルトンもびっくりの古代原子説。(陰陽五行説というやつ)

兵家」(孫子呉子) strategist
呉王闔閭に仕えて呉を強国にした孫武、楚王に仕えた呉起
孫武の子孫の孫臏(そんぴん)が兵家の代表。(追加1参照)

風林火山
孫子」の中にある「その迅きこと風の如く・・」から取った。
武田軍でも「孫子の旗」と呼ばれていた。

『彼を知り己を知れば百戦して殆うからず』
これも「孫子」から。
今でも「孫子」は、戦争だけでなく経営の参考書にも引用される名著。

縦横家」(蘇秦張儀) negotiator
最強国秦に対抗するには残り六か国が連合するしかない(合従策)と説き、
一時は六国の宰相を兼ねた蘇秦と、
その弟弟子で、各国と秦との一対一交渉に活躍したのが張儀。(連衡策
今でも政党や会社の集合分裂を、合従連衡と言うことがある。

ただし、最新の研究によると、張儀の方が蘇秦より先輩で、
合従策が失敗したのは、秦と接している趙魏韓楚と比べて、
接していない斉燕に危機感が足らなかったからだとされている。

『鶏口牛後』
小さな団体のトップの方が大きな団体の末端よりマシだ、という意味。

蘇秦が各国の王を説く時に、
「鶏口となるも牛後となるなかれ」(小国の王たれ大国の奴隷になるな)
と説いたことによる。

『先ず隗より始めよ』
身近なものから手をつけよう、という意味。

各国に出遅れた燕の王様が、部下の郭隗に賢人を招く手段を相談した時、
郭隗が「私を優遇すれば噂を聞いてもっと賢人が来ますよ」と言った。
関係ないのだが、柳川鍋等、アサリを使う鍋物は、
アサリが砂をかんでいるといけないので、先にアサリをゆでて開かせる。
そこでできた言葉が、まず貝より始め・・、いや、なんでもありません。

鳴かず飛ばず
才能があるのに不遇であること。

即位して3年遊んでいた斉の王様に、参謀のひとりが、
「三年鳴きもせず飛びもしない鳥の名前は何でしょう」
とイヤミを言ったら、目覚めた王様が活躍して、
斉がますます強国になった、という話から。